2020年7月(コロナの影響で1ヵ月ズレた特殊な回)に、令和2年度第1回毛筆書写技能検定1級を受験したときの、体験記です。
毛筆2級は既に合格していましたが、1級は初めて受験しました。
1級を受験する前に、インターネット上でいろいろ情報収集を行い、
・どういう順番で作品を書いた方がいいのか
・墨汁や筆はどういうものを使った方がいいのか、
徹底的に調べてから挑みました。
結論から言うと、順番は
1.賞状
2.漢字かな交じり、古典臨書、古筆臨書、三体
3.自由作品(漢字5文字)
4.理論
~ほぼ提出できる状態をつくる~
5.出来が悪かった漢字かな交じり、古典臨書、古筆臨書を書き直し
6.賞状の消しゴムがけ
7.賞状に贈者の印と、半切に雅印(赤マジックで示す)
8.見直し
という順番でした。
すみません、2.の詳しい順番を忘れてしまいました。
ただ、感覚的には最初は墨が少ないもので済むものから作品を書き、墨を多く使うものほど、あとに書くということをしたと思います。
なので漢字5文字が最後になる、ということですね。
順番について詳しく書いていきます。
1.賞状について
これは絶対に最初に書いた方がいいです。
賞状の割り付けをする際、鉛筆で補助線を書くのですが、その補助線は消して提出しなければなりません。
だからといって墨が乾かないうちに消しゴムがけをすると当然墨で汚くなりますよね。
ですので、乾かす時間が必要です。
試験が終わった後に消しゴムがけするのはダメです。
ですので、一番最初に書くだけ書いて、十分乾かし、時間が経ったら消しゴムがけをする、というのが王道です。
消しゴムがけをするときに気を付けてほしいのが、賞状用紙を汚さないようにすることです。
試験の最後のほうに消しゴムがけをするので、
・手が墨で汚れていたり、
・手汗で手がにじんでいたり
するので、それで賞状用紙を汚す可能性があります。
おそらく、用紙の”枠外”であれば汚しても採点対象外だと思うのですが、用紙の”枠内”は結構ヤバイかもしれません。
(私、手アカ?みたいなので贈者の横っちょをちょっぴり汚しちゃったんですが、なんとかなったようです・・・完全に気が抜けてました)
賞状用紙って上質紙なんですけど、マジで手の汚れが移ります。
因みに使用した墨汁は五聖、
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筆は実用書筆 中(贈者の肩書と日付)、豊橋筆の面相筆(赤軸)/極小(贈者の名前、主文、受者、表題)です。(販売終了したようです)
2.漢字かな交じり、古典臨書、古筆臨書、三体
これ、順番を全く覚えてないんですよね。
逆に言うと、ここらへんの順番はそんなに重要じゃないです。
強いて言うなら、古筆臨書→漢字かな交じり→古典臨書→三体っていう順番がいいかもしれません。
私の場合、古筆臨書と漢字かな交じりは、墨汁を使わずに固形墨を磨って書きました。
磨る量も少なくて済みますし、書いてるときの墨の伸びはやっぱり墨汁と比べて違いますからね。
墨のパワーを借りて合格しようと思って、0.7丁で5000円くらいする墨を使いました。
いや~贅沢ですね。でも、すっごいよかったです。
練習の時はもっと安い墨でOKです。
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古典臨書と三体は、墨汁を使いました。
といっても、固形墨を液体墨にした墨汁タイプです。
こちらも350gで2000円強。
でも、濃墨なのにとても伸びがよく、そのうえ黒いので、作品映えします。
こちらも墨のパワーの恩恵を十分授かれました。
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漢字かな交じりの筆は、浮草2号
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古筆臨書は、実用書筆 中
(販売終了したようです)
古典臨書は、継述2号
http://uekikamiten.com/index.php/cart/items/detail/32
三体の筆は、どこで買ったか覚えていないのです。
穂の長さ27ミリ、穂の直径7ミリくらいの中筆です。
毛の種類は多分、天尾かなあ。
3.自由作品(漢字5文字)
自由作品は、墨汁をたっぷり使うので最後に回しました。
書き始める前に適当な紙に鉛筆で骨書きして、出来上がる余白も確認してから半切に一気に書き上げました。
5分もかからず書き終わるので、楽勝です。
(時間節約の観点から、漢字5文字が一番良いと思います)
使った筆は龍神7号
小学生が使うような書き初め用の筆で頑張っちゃいました。
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4.理論
ちゃんと勉強していたので、楽勝でした。
理論問題に時間をかけてはいけないです。
問題が視界に入ったときに反射的に答えられるレベルでないといけません。
~一応ここで、ほぼ提出できる状態にしておきます~
5.出来が悪かったものを書き直す
これが結構重要なのですが、まず賞状と三体は時間が掛かるので、相当失敗しない限り書き直しは諦めてください。
書き直すなら、時間がかからない漢字かな交じり、古典臨書、古筆臨書を書き直しましょう。
今回、古典臨書は1発でOKだったのですが、漢字かな交じりと古筆臨書が全然上手くいきませんでした。
漢字かな交じりは1回書き直し、古筆臨書が2回か3回書き直したかも。
6.賞状の消しゴムがけ
しっかり乾いているので、消しゴムかけるだけの作業ゲーです。
手の汚れが賞状につかないようにして、汚すのだけは気を付けましょう。
7.賞状に贈者の印と、半切に雅印(赤マジックで示す)
こちらも、押印するところは事前に決めていたので、楽勝です。
※半切に赤マジックを使う場合、当然にじみます。
たとえば、ペン先を半切に押し付けたままにすると、”●”みたいな汚いシミのようになるので、気をつけましょう。
油性ではなく、耐水性顔料マーカーであれば、ある程度シミは防げます。
8.見直し
もうこの段階で見直ししたところで、取り返しはつかないのですが、とりあえず理論でケアレスミスしていないかチェックしました。
実技はミスっててもあきらめましょう。
意外に時間に追われることはなかった
実技と理論を同時に受けたのですが、意外に時間に追われることはなかったです。
自由作品を5文字にしたのが、時間節約ポイントです。
賞状の割り付けスピードも、とにかく爆速で。
あと、理論問題は考えちゃダメで、5秒考えても答えが出ないなら飛ばしてました。