【草書の本質に迫る①】なぜ草書は躍動感があるのか?

全て

楷書は「立ち止まる

斜めから見た立つ人のイラスト(男性)


行書は「歩く」

歩く男性のイラスト


草書は「走る」

ジョギングをする男性のイラスト

と表現されるように、草書には「躍動感」「動いている雰囲気」というものが存在します。

躍動感なくして草書にアラズなのですが、この躍動感はどうして生まれるのでしょうか?

これについて個人的な見解を軽くまとめたいと思います。

1.イラストにおいて、躍動感はどのように出すのか?

書道の世界から離れて、イラスト(絵)の表現技法について少しだけ触れたいと思います。

イラストにおいて、キャラクターに躍動感を持たせたい場合、一つの例として以下のような構図が用いられるようです。

漫画でよく見る光景ですよね。

”今まさに相手に攻撃を仕掛けようと、近づいてきている”という状況がよくわかります。

とても動きがありますよね。

さて、こちらの大変すばらしいイラストに私が少し加筆させていただくと、こんな感じになります。

つまり、逆三角形のシルエットに見えますよね。

この逆三角形のシルエットが、イラストに躍動感をもたらしている正体なのです。

2.逆三角形のシルエットは、実は草書にも用いられていた

さて、書道の世界に戻ってきます。

逆三角形のシルエットは、実は草書で多用されているシルエットなのです。

実際に見てみましょう。

孫過庭

王羲之

どうでしょうか。

全部、逆三角形のシルエットですよね。

・左側に大きく突き出している
・頭が大きく、地面に対しての接地面積が狭い

  (=字形が不安定になるので、グラグラと揺れているように見える)
・強い右上がりの横画がある

これらの要素が合わさると躍動感が発生し、草書を草書たらしめていると、私は思っています。

3.まとめ

もちろん、逆三角形に出来ない草書も存在します。

例えば、「へん」と「つくり」が存在する漢字とか。

草書を理解するための第一歩として、まずは理解しやすいこういったことから始められると、より草書の本質を理解できるんじゃないかなと思います。

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