毛筆書写検定準2級〜1級の第3問は、古典臨書の問題が出題されます。
準2級は楷書のみ、
2級は楷書、行書、草書の3書体、
準1級〜1級は楷書、行書、草書、隷書の4書体となります。
このうち、特に行書・草書については、「これ、どういうふうに書いているんだ?」と頭を悩ませるものが出題されるときがあります。
例えば、風信帖の冒頭らへん「・・・・如掲雲霧。」の4文字の「霧」を見てみると、以下のように書かれています。
非常に初見殺しですよね。
一見、以下のように書かれているかのように読み取れます。
しかし、実はこの書き方は間違いで、以下の書き方が正解の筆路になります。
どうすれば正解パターンのように書けるようになるかといわれれば、落ち着いて「霧」の行書体を一旦書いてみれば、?パターンがおかしいと気づくので、そこまで惑わされないかなと思います。
よくわからないときは、一発逆転を狙うかのようにイレギュラーな方向にいこうとせず、「理論上こうなるはずだよね」という王道パターンで書いてみればよろしいかと思います。
さて、では正しい筆路で書いたパターンと、間違った筆路で書いたパターンを書き分けてみました。
どうでしょうか、ぱっと見、間違った筆路のほうが原帖に近いように見えませんか。
正しい筆路のほうは、なんだか素人が書いたかのような雰囲気で、あまり上手には見えません。
これはあえてそのように書き分けてみました。
さてこの場合、どちらのほうが良い評価をもらえるのでしょうか。
毛筆書写検定の場合の古典臨書は、4文字もしくは2字出題されるので、この1文字だけで評価するのは難しいですが、おそらくこの場合は間違った筆路のほうが良い評価がもらえるような気がします。
筆路は間違っているのですが、そのほか字形や筆遣い、線質は間違った筆路で書かれている方がレベルが高いので、良い評価がもらえると思います。
正しい筆路の場合は、筆路は正解なのですが、字形や筆遣い、線質がまるで素人なので、こちらのほうが減点されやすいと印象です。
なので私が言いたいことは、評価というのは総合的に判断されるということです。
評価項目はいくつもあり、何か一つの項目がOKなら全てOKという、評価はそんな単純なものではないということです。
(勘違いしていただきたくないのは、「間違った筆路で書いた方が上手に書けたり、良い評価がもらえる」ということを言いたいのではありません。今回はわかりやすく書き分けてみただけです。)
逆に言えば、試験本番で筆路がわからなかった場合でも、他の項目(字形、線質、その古典特有の筆遣い)が良ければ、即不合格なんてことはありません。
ただやはり本当は、そもそもそうならないように日頃から出題対象の古典を全て臨書し、書き方がわからないものは無い状態で挑むのがベストではあります。