普通の書道教室や書き方教室は、競書誌を導入しているのが慣習となっておりますが、
ひすい書道教室では、競書誌を導入しておりません。
今回はこの理由について書いていきたいと思います。
そもそも競書誌とは?
Wikipediaから下記引用
競書誌(きょうしょし)、または競書雑誌(きょうしょざっし)は、主に教育系の書道団体が発行する定期雑誌である。
掲載された手本を元に、毎月決まった課題を練習し、清書した作品の優劣によって段級位を認定する仕組みが一般的である。
一般の書店での販売はほぼないため、購読希望の際は各団体から直接取り寄せる必要がある(書道用品店で閲覧できるものもある)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B6%E6%9B%B8%E8%AA%8C
ひと言でいえば、毎月提出する課題です。
そういった教室に通っていた方なら、ピンときますよね。
採用しない理由1.競書代がかかる
通常、競書代は生徒負担となります。
この競書代には、”競書誌そのものの代金+審査料”が含まれています。
値段は大体400円~700円がほとんどです。
「できるだけ毎月の毎月お支払いいただく料金を安くしたい!」
という思いから、ひすい書道教室では競書誌は採用していません。
採用しない理由2.別途、昇段試験料が発生
競書誌に提出を続けていると、級を取得でき、さらに成長すると段位になります。
そして、初段以上になると、それ以上の段を取得するための試験として、
昇段試験料というものがかかってくる競書誌がほとんどです。
これは、
「毎月だいたいこれくらいの月謝かな」
という生徒の親御さんの月謝感覚を裏切ります。
裏切ることが信頼関係に亀裂を走らせることになります故、私は採用していません。
採用しない理由3.団体の指定清書用紙を購入する必要がある
毎月の課題を清書し提出をするためには、その団体専用の清書用紙で提出しなければならないのが普通です。
この清書用紙を購入するための費用が、月謝とは別に必要となります。
字をキレイに書くことが目的であるので、良い紙に書く必要はありません。
紙なら何でも良いのです。
それなら大衆向けに販売されている安価な漢字練習帳、半紙で十分です。
ひすい書道教室では、安価な紙で授業を進めていますので、別途教材費が発生せず、月謝を低く抑えることができています。
(安価といっても、さすがに安価のなかでも良い品質のものを厳選していますよ!)
採用しない理由4.生徒さんは、毎月の課題提出のためにスケジュールを合わせる必要がある。
毎月の課題提出の期限は、大体月の下旬ごろでしょう。
競書誌を採用している教室の先生たちは、この期限をターゲットにして授業を進めています。
もし期限間近で、生徒さんが休んでしまったらどうなるのでしょうか?
期限に間に合うように、課題提出のためだけに別日に教室に来るよう催促します。
”先生の都合で、生徒を教室に来させる”ということが私が性格的に嫌なので、ひすい書道教室では競書誌を採用していません。
採用しない理由5.級・段は、審査員が審査する
提出された競書は、競書誌を発行している偉い先生方が審査にあたります。
級まではスムーズに上がるでしょう。
初期の段階から上げにくくしていたら、生徒さんのモチベーションが上がらず辞めていってしまうから。
高段位になってくると、とたんに雲行きが怪しくなります。
簡単には上げてくれません。
なぜか?
1.昇段試験を何度も受けてもらい、昇段試験料で儲けたいという思いがある。
2.簡単に最高位になられると、最高位の価値が無くなるから。
3.その教室の先生に権力がないから。
大体この3つのうちのどれか、もしくは全部でしょう。
3.の理由は、生徒さんの力ではどうしようもありません。
字の上手い下手ではなく、”段”にこだわる場合は、有力な先生のもとで学ぶ必要があります。
書道という業界は本当に闇が深いですよね。これ以上は書けません。
こういった級・段の審査において、”教室の先生ではどうにもならない部分”がありますので、
”生徒に実力があったとしても”、段を上げることができないのです。
これも完全に”先生都合”であるので、こういうことが私は嫌なので、競書誌を採用していません。
採用しない理由6.事務処理のための時間が発生する
競書誌を採用している教室は、競書誌のための事務処理時間が発生します。
具体的には、
・課題の出品券の管理
・清書作品への出品券添付の確認
・課題提出明細への記入
・送付手続き
です。当然、ミスがひとつでもあったらいけません。
正常に処理されず、級・段の審査が受けられず、生徒さんに迷惑がかかります。
この”どうでもいい何の役にも立たない事務処理時間”を作るくらいなら、
・生徒さんのために少しでも多くお手本を書きたい
・生徒さん、生徒さんの親御さんと1秒でも多くコミュニケーションをとりたい
・自己研鑽したい
です。
事務処理時間は”自分の教室のマネージメント”にかかる時間だけで十分です。
採用しない理由7.その競書誌の書風通りの字を学ばなければならない
一番の理由はこの理由です。
上手な字を習得するうえで、”うちの書風以外の字は間違いだ”という考え方が、私が最も嫌う考え方です。
「Aという考え方も正解だし、Bという考え方も正解」という考え方が好きです。
例えば、ひらがなの「い」の2画目は、1画目の高さと同じ高さにするのか、しないのか。
これはどっちでもいいところです。
高くなっても正解、同じ高さでも正解。
基本的に私がお手本を書く時は、一つの書風で統一していますが、
お手本と違う字形の文字を書かれても、「これは書風的に許容範囲だな」と思うものは、〇にしています。
(もちろん、そういうことを生徒さんに説明してから〇にしています)
一つの書風にこだわることを強制されるから、私は競書誌を採用していません。
採用しない理由8. 先生の研究癖がつかない
これは生徒さんには直接関係ない理由です。
競書誌をまるでご本尊かのように崇めていると、競書誌の考え方が絶対だ!となり、視野が狭くなります。
故に、理由6にあげた、「ひらがなの『い』の2画目の高さ」に許容範囲があることを知らないまま生徒に指導することになります。
競書誌に縛られず、幅広い知見を持つことが指導者に求められることだと思いますので、私は競書誌を採用していません。
パっと思いつくだけでも、これだけ理由が見つかってしまいました。
競書誌を採用している教室は悪いものだと言う意図はありません。
本質は、”生徒が求めるニーズをちゃんと満たせているかどうか”ですので、それさえクリアしていればやり方は何でも良いのです。
以上、私が競書誌を導入しない8つの理由でした。
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