令和5年度第1回硬筆毛筆書写技能検定試験において、セカンドオピニオンコースを受講されている当教室の生徒さん3名が、硬筆1級、毛筆1級に合格しました!うち1名が、なんと硬筆と毛筆の1級をW受験・W合格しました!!
一人目の方 硬筆1級 合格
こちらの生徒さんは2022年12月ごろにセカンドオピニオンコースにご入会いただき、硬筆1級と毛筆1級のレッスンを平行して実施してまいりました。
2022年11月の硬筆1級の試験を受験されたようですが、残念ながら不合格となってしまい、結果は1〜6問中、2つがOK、4つにチェックという結果になったようでした。
特に字形や草書にチェックが入ってしまい、直すのには時間がかかりそうなものばかりでした。
ただ、ご本人が実際に書かれる字は、私的にはそこまで悪くない印象でした。
具体的には漢字(楷書・行書)はお上手で、所属されている団体の書きぶりをしっかりと吸収されていました。
しかし、ひらがなの練習が圧倒的に足りない印象でした。
ですので、指摘にあった字形というのは恐らくひらがなのウェイトが多く占めていると思い、ひらがなの練習を頑張っていただきました。
あとは、行書の崩し方を覚えること。
行書の崩し方に少し曖昧なものがあり、曖昧なものを書かれるときに自信がないのか、字形が大きく乱れることがよくありました。
この2点を徹底的に練習していただいた結果、今回の硬筆1級の合格につながりました。
ご本人のスゴイ!と思ったところは、しっかりと練習されて、その練習の成果が現れているということです。
よくあるのが、なんとなく練習はしているんだけれども、練習の成果がでないパターンです。
このパターンに陥る原因は、
そもそも自分の中に、それが”課題”として落とし込まれていない
だいたいコレだと思います。
独学の方であれば何が課題なのかを見つけるのは困難ですが、例えば指導者から指導を受けて、どこを直さないといけないのか指摘を受けたとしましょう。
そのときに、それを”課題”として落とし込まれるようであれば、おのずと練習方法も見つかるし、練習の際にはそれを解決しようと意識して取り組まれるかと思います。
”課題”として落とし込まれない場合は、なぜか他人事だったり、「直さなくてもいっか」と自分に甘かったりして、そもそも練習のスタートラインにすら立てていない方が多い印象です。
重要なのは、課題として自分に落とし込んで、それを解決するための練習のスタートラインに立つということ、これが大事です。
自分の字がなかなか変わらない方は、そもそも課題が自分の中に落とし込まれていないんじゃないか、これを確認してみましょう。
ちなみに1級合格をするためには、お手本に近いレベルでひらがなを書けないと合格することは難しいです。
1級合格は、つまり指導者としてのお墨付きをもらえてしまうわけです。
ひらがなたった46字すら、ろくに書けないのに指導なんかできるはずがありません。
課題を落とし込んでいて、練習もしているのになかなか変わらないんです!という方は、ハードル設定が高すぎるかもしれません。
例えば3級レベルの方が、お手本に近いレベルでひらがなを書くのには物凄い時間がかかります。
例えば毎日10時間を半年とか1年とか継続できれば、可能かもしれませんが、週に数時間程度の練習であれば、果てしなく時間がかかるでしょう。
ハードル設定も適切なんです!という方の場合は、もしかしたら書のセンスがないかもしれません。書のセンスってなんでしょうか。
美しいものを美しいと感じることができて、美しくないものは美しくないと感じることができる感覚ですかね。
ただ漠然と美しい、これはダメです。なぜ美しいのかを自分なりに理由を見つけられないとダメです。
センスがない人は、美しいものは何を見ても同じような美しさに感じてしまい、その微妙な美しさの違いに気づくことができません。(線の角度、長短、交わり方、余白の取り方など)
センスがない人はあきらめてくださいということを言いたいわけではなく、私のレッスンでは、センスがないかもしれない人に対しても、どういう視点で文字を鑑賞すれば良いのか?そういったこともアドバイスしています。
二人目の方 硬筆1級 毛筆1級 W合格
こちらの生徒さんは2022年1月にセカンドオピニオンコースにご入会いただき、まずは硬筆準1級、毛筆準1級の合格を目指して、最終的には両方の1級の合格が目標でした。
月2回ほどレッスンを実施していき、1年5ヶ月ほどで硬筆と毛筆両方の1級に合格しました!
文面にすると非常にシンプルな道のりのように見えてしまいますが、ここまでたどり着くのは決して平坦な道のりではありませんでした。
2022年1月の試験では、硬筆と毛筆両方の準1級に不合格、
同年6月、硬筆と毛筆両方の準1級に合格、
同年11月、硬筆1級に不合格、
2023年1月、硬筆1級に不合格、
同年6月、硬筆1級と毛筆1級に合格!
硬筆1級は3回目の受験で合格、毛筆1級は一発合格です!
2022年11月の硬筆1級では不合格となってしまったのですが、その2ヶ月前に受けた書写能力診断テストでは548点だったのです。
私も当時、「これぐらい書ければ合格できるだろう」と思っていたのですが、まさかの11月の試験では不合格!!さらにその後の1月の試験でも不合格という結果になってしまいました。
ご本人としては、高得点が取れたにも関わらず、2連続で不合格となってしまうというのは精神的ダメージがかなり大きく、とにかく絶望されておりました。
しかし諦めずに最後まで取り組み続けた結果、今回の試験で硬筆毛筆両方の1級にW合格という偉業を成し遂げられました。
受験された方ならわかるかと思いますが、片方の受験だけでも相当疲れるのに、それを両方ですからね!
しかも今回は毛筆1級は理論と実技同時に合格されておりますので、表彰の選考対象となります。
結果が楽しみですね。
また、こちらの生徒さんにインタビューをしている動画を後日アップ予定です。
書歴や練習方法、練習時間など、いろいろと気になることを質問しています。
三人目の方 硬筆1級 合格
こちらの生徒さんは2022年6月にセカンドオピニオンコースにご入会され、月2〜3回程度、レッスンを実施して、硬筆1級の合格を目標としてきました。
2022年11月の試験では理論合格のみで、今回の6月の試験で合格となりました。
私としては、11月の試験で合格するかなぁ〜と思っていたのですが、不合格となってしまったのが衝撃でした。
しかもがっつりチェックが入ってしまい・・・・。
また、書写能力診断テストの結果も、私はよく書けていると思うのに、なぜか点数が低かったりと、本当に不思議なことの連続でした。
私が間違っているのか・・・・!?と少し不安になるレベルです。
さすがに今回の6月の試験では合格するだろう!と思っておりましたが、ちゃんと合格することができてよかったです。
入会時点で、準1級合格レベルの実力はおありでしたが、ところどころ不安定な箇所がありましたので、そういったところを直していきました。
具体的には草書、ひらがな、余白の取り方ですかね。
この1年で本当にガラっと変わったと思います。非常に安定するようになりました。
特に三体が本当に模範的なレベルです。
3名の方、本当におめでとうございます。
このように合格者を出す度に思うのが、よく私のことを信じてついてきてくれたなぁという思いです。
もしかしたら私が間違っていることを教えているかもしれないのに、ちゃんと信じてついてきていただけるのは本当に嬉しいことです。
しかし、不合格者を出してしまったのも事実です。
不合格者を出してしまったのは、私が何か不足していたからなのです。
何かが欠けている、何か重要な視点が抜け落ちているはずです。
今までと同じやり方で合格者を出そうとするのではなく、やり方を変えて不合格者を合格に導かなければなりません。
今回不合格になってしまった方
今回残念ながら不合格となってしまった方は、硬筆・毛筆書写技能検定公式テキストに掲載されている第2章 書写技能検定の審査基準を熟読してみてください。
そこには審査員が受験者に求めていることが沢山記載されています。
そして、その審査基準と今の自分の実力と比べてみてください。
審査基準よりも低ければ不合格となるし、高ければ合格となります。
決してギリギリ合格を狙わないようにしてください。
ギリギリ合格を目指す人は、そのマインドが普段の練習にも現れ、字にも現れてしまいます。
しかし、ただ闇雲に練習すれば良いというわけではありません。
字が変わらなければ意味が無いのです。
自分が書いた答案を、自分でちゃんと添削していますか。
線の角度、長短、交わり方、余白の取り方、細かく分析できなければ自分の字は変わりません。
厳しいことをいうと、この程度のことは”細かい分析”のうちに入りません。
プロからすれば当たり前のようにできないといけないことです。
添削力が鍛えられると、自分の実力は着実に上がっていきます。
また1級合格後に生徒さんの答案を添削するときにも非常に役立ちます。
よく間違えてしまう字だとか、クセだとか、しっかりノートにまとめるようにしましょう。