効率よく上達をしていくためには、自分がそのとき感じる苦手だと思う字を見つけていくと良いです。
例えば、「樹」「謝」「衛」「織」など、左・真ん中・右と3ブロックに分かれる字は、中心がズレやすかったり、大きくなりすぎたり、強調画がよくわからなかったりと、なかなか難しい字です。
こういう系の字は、真ん中ブロックの横画の角度が水平の角度になってしまう人が多いのですが、右上がりになるように書きましょう。
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そのほか、「鑑」「際」「燃」など4ブロックに分かれる字も難しいです。
画数が多いので、漢字のパーツ同士がぶつかってしまう人が多いです。
また、”へん”も”つくり”のエリアに侵入してしまわないよう気をつけてください。
”つくり”を書く際、侵入した”へん”にぶつからないように字形を組み立ててしまい、ヘンテコな字形になってしまう人が多いです。
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つまり、良い”つくり”を書くためには、良い”へん”が必要です。
他の例でいえば、たとえば「きへん」は、常に同じ大きさではなく、相方の”つくり”が何なのかによって、「きへん」の大きさは変化します。
活字の「柱」はへんとつくり同じぐらいの大きさですが、手書きの場合は「主」が小さくなります。
同様に「林」も手書きの場合は、つくりの「木」が大きくなります。
手書きの場合はこのように絶妙に大きさを変化させて、「柱」と「林」が同じぐらいの字粒(大きさ)に見せるのが上級テクニックです。
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以下が失敗例です。
「柱」は、へんとつくりを同じぐらいの大きさに書いてしまい、「柱」がとても大きく見えてしまいます。
「林」は、つくりの「木」を小さく書いてしまい、「林」が小さく見えてしまいます。
文章を書いているときに、やたら字が大きくなってしまったり、逆に小さくなってしまったりする原因は、大体が”へん”の大きさがおかしい場合が多いです。
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字はへんとつくりだけで構成されているもののほかに、かんむりとあし、たれを含む字など色々ありますので、最初に書く点画や部分を意識してみると、大きさの感覚がわかってくると思います。
他に「残」の例では、歹(がつへん)を小さくして㦮(セン)を大きくします。
真ん中が良い例です。
一番左の例で書く人が多いのですが、間違いとまではいかないのですが、やはり”へん”と戈(か)が同じぐらいの大きさというのは活字っぽい印象を与えます。
一番右は、最も良くない例です。
戈(か)を含む字は、”へん”よりも必ず”戈”のほうを大きくしないといけません。
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”へん”と”つくり”だけでなく、”かんむり”と”あし”で構成される字も、大きくする・小さくするを考えなければなりません。
(例:「宀(うかんむり)」・・・「安」の場合は「宀」を小さく、「宙」の場合は「宀」を大きく。)
さて、この「大きくする小さくする」という考え方は、”へん”と”つくり”などの組み合わせによって常に変化していくので、1つ1つ覚えないといけないわけですが、覚えたとしても、表現したいときに表現できなければ意味がありません。
つまり書き込むことも大切です。
書き込みの練習をするときは、大きめの字・中くらいの字・小さめの字と、3パターンに分けて練習すると良いです。
硬筆書写検定でいえば、第6問掲示文の大きさ・第2問の大きさ・第1問速書きの大きさ、という感じです。
いつも同じぐらいの大きさで練習していると、いざ小さく書こうとしたときに思うように小さく書けず、へんとつくりの大きさがチグハグな大きさになったりと、字形が乱れがちです。
小さく書く練習、大きく書く練習、こういった訓練もしないと、自分の表現したいと思っている大きさ感で表現することができないわけです。