独学で練習をしている場合、なかなか自分では良くないところを見つけるのが難しいと思います。
上級者になるほど、上達のために必要な添削視点というものが身についてくるので、独学しても問題ないのですが、初心者~中級者の方はそういった部分がまだ未熟ですので、やはり独学効率は少し悪いです。
今回は初級者~中級者の方が、自分で自分の書いた文字を添削するときに必要な視点を3つ紹介したいと思います。
★前提として①
文字は書き順が決まっていますよね。
1画ごとに、自分が書いた文字とお手本を比べてみてください。
1画ごとに比較するというのが重要です。
全部の点画を一気に比較しようとすると、粗を見つけ出すのが難しいです。
出来ればトレーシングペーパーを利用して、上から透かして比較するとよりわかりやすいです。
★前提として②
罫線が刻まれたマス目に文字を書きましょう。
硬筆であれば以下のような16分割マス目に、

毛筆であれば以下のようなマス目に書くと良いでしょう。

ただ毛筆は半紙に書くのでマス目がないことがほとんどです。
ですのでマス目を半紙に記入してそれを下敷きにして書くとよいです。
本題です。
視点① 点画のズレ、角度
点画がズレていると、それによって生じる余白や重心に支障をきたして、バランスを崩した変な形の字になります。
左払い右払い系のパーツや、”禾(のぎへん)”や”受”の1画目のような点画(右から左に払うもの)の角度にも気を配ってください。
もし可能であれば、分度器を使って角度を見える化すると、より効果的です。数値で表現すると、「意外に〇〇だった!!」という驚きを体験できると思います。
視点② 点画の長さ
基本的に文字の中に強調すべき点画はひとつだけです。
強調すべき点画は、その横幅を長~くしてあげましょう。
強調すべき点画の優先順位を少し挙げると、
1位
「女」の横線
例)安、案、委
2位
「香」「基」「奈」「分」「今」「足」「定」など、左払い右払い系のパーツと、「儿(にんにょう)のようなパーツ
にんにょうの例)兄、見、先、光など。
3位
中心に横線がくる場合
例)量、意、
「心(こころ)」「灬(れっか)」など、文字の下部に位置するパーツ
例)志、忘、恵、思、意、態、無、熱、然、熊、馬
この優先順位で考えると、「委」の5画目右払いは止める形にして、「女」の横線を長く伸ばし強調してあげます。
(ただし、書風によっては左払い右払いを長く強調し、「女」の横線を短くすることもあるので、お好きな方を選んでください)
3位のパーツは例外パターンも少し多く存在するようになります。これが厄介です。
例えば「意」は、5画目の横線を強調したほうがよかったり、「無」も「れっか」の上の横線を強調したほうがよかったり、
「態」や「熊」も実は全体が”ずんどう”のようなシルエットを作ったほうがよい、つまり強調しないほうが良い、ということがあったりと。
1位、2位のルールはほぼ例外はありません。3位はお気をつけください。
初めて書くような漢字でもルールさえ覚えておけばそれに当てはめて、おかしくないバランスを探せばいいだけになります。
視点③ 点画の太さ
硬筆の場合、初級~中級レベルの方は太さは気にする必要はありません。
ただし、行書やひらがな連綿に取り組んでいる方でしたら、点画を続けるときに生じる連綿線の太さに気を付けてください。
連綿線は線が変化(細い線)してこそ連綿線と呼べるので、線が変化していない場合は単調な文字になってしまい、やっても意味がない行為となります。
毛筆の場合は太さの表現をしやすいので、点画の太い・細いに注目してください。
毛筆で書かれた文字は、太い・細い点画が組み合わさってこそ魂が吹き込まれ、生命が宿ります。
太さが一定になってしまうのであれば、それは硬筆で良いということになってしまいますので、しっかりと”毛筆感”を出していきましょう。
以上3つが添削に必要な視点です。
なかなか全ての視点を書きだすのは難しいので、すごい厳選してみましたが、初心者~中級者レベルの方でしたらこれくらいで十分かと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
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