毛筆書写技能検定1級を受験したときのお話です。
試験中は、緊張して手が震えたのでやはり練習のときのようには書くことができませんでした。
一番驚いたのが、第2問の漢字かな交じり文。
信じられないぐらい文字が太くなってしまったのです。
これには本当にびっくりしました。
救われたのが、持参していた緊急用の予備小筆1本。
この小筆は、普通に書くと文字が細くなってしまうことが既にわかっていたので、試験中は使わないと決めていました。
ですが念のため、持参していました。
ぱっと閃いて、「じゃあこの小筆で書くと、ちょうどいい太さになるのでは?」と思って、その予備小筆で書いてみたら・・・・
案の定、ちょうどいい太さになったのです。
という感じで、役に立たないと思っていた筆が役に立ったのは、練習の段階でいろいろと筆を試してみて、その特性を知っていたからでした。
この経験がなければ、「あの細くなっちゃう筆で書けば、丁度いい太さになるのでは?」という機転が利かなかったことでしょう。
機転を利かす力というのも必要
試験中は、想定外のことが発生します。
練習のときには絶対にしなかったようなことを、してしまうことがあります。
そういったイレギュラーが発生したときに、どれだけ機転を利かすことができるか。
これは本人がどれだけ
・練習をしてきたか
・研究をしてきたか
に依ると思います。
「とにかく書け」というのは、こういった機転を利かす能力を養う目的もあるのです。