実際の検定試験と同じ審査基準で評価してくれる書写能力診断テストですが、受験者に好評のようでついに第5期の受付が開始したようです。
もうあと何期か続いたら、「継続的な需要がある」として、第〇期ではなく一つの教材として継続的に(例えば試験月を除く毎月とか)実施しちゃえばいいんじゃないかなぁと個人的には思います。
さて、私も過去に第1期と第3期の書写能力診断テストを受けたことがありますので、実際に受けてみた感想をちょろっと書いていきたいと思います。
まず私の点数。合格ラインに達せず。
毛筆書写能力診断テストの1級を、第1期と第3期を受けました。
その結果、
第1期(4月頃)・・・522点
第3期(6月頃)・・・526点
でした。
1級の合格ラインは535点ですので、惜しいとかではなく全然足りません。
にもかかわらず、わずか1か月の調整で、7月の実際の検定試験で合格しちゃいました。
合格した理由は後述します。
診断テストの良いポイント:自分の弱点を指摘してくれる、添削をしてくれる
解答用紙を提出すると、評価シートと添削されたものが返ってきます。
評価シートには、
・自分の合計得点
・各問題ごとの点数
・各問題ごとの良いところ、改善すべきところ
これらが載っています。
自分では気づかなかったダメなところ、作品を作り上げる上で持っていなかった視点・考え方を指摘していただけるので、本当に勉強になります。
特に独学者の場合、何が重要で何が重要ではないのかというのがよくわからないので、こういった指摘は本当にありがたいのです。
添削については、各作品ごとに、ダメな箇所には朱墨が少し入ります。
良い作品については朱墨が入らないこともあります。
これもありがたいです。中央審査員クラスの先生の生の筆跡を見れるのは、貴重な情報源です。
総じて、この書写能力診断テストはコストパフォーマンスが良く、準1級・1級を受験する予定がある方は、チャンスがあればぜひ受けてみた方が良いでしょう。
合格への近道となります。
診断結果を素直に受け止めることができますか?

さて、診断結果というのは、人によっては残酷なものとなります。
「ちゃんと書いているのに、なぜこんな指摘をもらわなきゃならないのだ!」
「自分はちゃんとしている!審査員がわかっていない!」
診断結果を見て、このような感情的になってしまう方は、今後書写検定を受験しないほうが良いでしょう。
なぜなら書写検定というのは、”書写検定が受験者に求めているもの”が明確に定義されており、その定義に従って審査員は受験者の作品を評価しています。
俗に言う”味がある作品”や”面白い作品”を書きたい人の場合、それはわざわざ書写検定を受験せずに、そういったことを評価してくれる団体の試験を受験するほうが、三方良しとなるわけです。
診断結果を素直に受け止めることができなければ、この書写能力診断テスト自体を受けることも、避けられた方が精神が健全でいられるでしょう。
素直に受け止めるだけでなく、行動もできますか?

「そっか~、ここが悪いんだぁ~・・・」
と、素直に受け止めたはいいものの、そのあとなにも改善しない人は、書写能力診断テストを受けた意味がありません。
指摘された箇所を、今後二度と指摘されないようにするという覚悟で取り組まなければ、また同じ指摘をされるでしょう。
つまり、改善をしなければ、実際の検定試験でも当然落ちるという結果になるわけです。
特に1級受験者に必要な”得点する考え方”
1級受験者の方は、書写能力診断テストの点数を見て一喜一憂してほしくないのです。
その点数というのはあくまでその問題の場合の点数・その時の精神状態の点数なわけであって、他の問題を解く場合や、その時の精神状態によって、必ずしも同じ点数になるとは限らないのです。
更に細かく言うと、会場の湿度によっても作品制作に影響を及ぼします。
つまり、点数に振れ幅があるということです。私はこれを”能力の振れ幅”と呼んでいます。
1級受験者の方は、能力に振れ幅があることを理解することで新しい道が開け、さらなる高みにステップアップすることができます。
これが”得点する考え方”です。
”得点する考え方”を可視化したものが以下になります。
”得点する考え方”のうち、一番重要なのは③の練習です。
多くの人は、無意識のうちに②と④はできたりするのですが、③の練習はできていません。
恐らく、③の練習は”意識的に”取り組まなければならない練習だからだともいます。
・具体的に、自分のどこが悪いのか?
・どのような練習方法、アプローチで、それを改善するのか?
・実際に行動できたか?
・過去の自分の作品と比べた時に、しっかり改善されたか?
このように自分を客観的に監督し、改善に向けてPDCAサイクルを回す必要があります。
最終的には、この例の第6問 賞状の能力のように、”振れ幅が小さく、かつ合格ラインに達している”という状態がゴールです。
【私が合格した理由】6月の時点で合格ラインに全然達していない私が、7月になぜ合格したのか
私は、6月の書写能力診断テストの結果を見て愕然としました。
4月の書写能力診断テストの結果から、たった4点しか点数が上がらなかったからです。
「これはまずい」と思い、過去を振り返りました。
その結果、「自分の練習の仕方に問題がある」という結論に達しました。
自分の練習の仕方を徹底的に見直し、上記の”得点する考え方”を編み出し、わずか1か月の調整で7月の毛筆書写検定1級に合格しました。
あ、ただし独学では無理です。
コロナの影響でしょうがなく5カ月ほど独学を続けましたが、試験直前(1週間くらい前)に、中央審査員クラスの先生に自分の作品を添削してもらい、最終的な微調整を行いました。
(NHKカルチャー青山教室の書道カテゴリの中に、中央審査員の先生が講座を開いてらっしゃるので、よかったら検索してみてください。ご迷惑をおかけしたら申し訳ないので、ここではあまり詳細に語らないようにします。私はこちらの先生にお世話になってます。)
先生から指導を受ける場合、持つべき心構えとして「先生に方向性の確認をしてもらい正しい方向に導いてもらう」という記事を過去に書いたので、よかったら参考にしてください。
あと、意地でも独学を貫いてわかったことという記事も書いたことがあるので、こちらも参考にしてください。
最後に
ちょっと上から目線の記事になってしまって申し訳ないのですが、1級受験者の方は、1級に合格した時点で指導者となるわけですから、それまでの甘い考え方で指導者になってほしくないのです。
というか、”甘い考え、妥協”が自分の中にあると、1級合格を遠ざけるのでそもそも合格できないのですが。
あなたがこの世に生みだす文字というのは、常に誰かの模範になっているという意識を持ってください。
”自分に厳しく、他人に優しい”という指導者にぜひなってください。
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