
今回は、毛筆書写検定1級の第1問三体の合格点をとるために必要な具体的練習法と、ポイント解説をしていきます。
第1問三体の点数がいつも低い人や、これから1級を受験しようとしている人、必見でございます。
・
・
🤔第1問三体はどんな問題なの?
第1問三体は、与えられた語句(漢字5文字)を、1枚の半紙に楷書・行書・草書を書き分ける問題で、当然お手本なしで、活字だけを見て楷書・行書・草書を書くわけですから、難易度が非常に高い問題です。
この問題は、受験者のどういった能力を審査しているかというと、大きく3つです。
①楷書・行書・草書それぞれの特徴を理解できているかどうか(ちゃんと書体に”差”をつけられるかどうか)
②正しく美しい字形で書けているかどうか
③紙面に対して適切な余白、適切な字粒及び統一感、適切な太さ及び統一感で書けているかどうか
これらを重箱の隅をつついてくるレベルで、ものすっごい細かく審査されます。
ですので、生半可な知識や付け焼き刃の能力で全く太刀打ちできず、当然一夜漬けでどうにかなるレベルではまったくありません。めちゃくちゃムズイです。
そんな超難しい第1問三体の問題ですが、どのように勉強を進めていったら合格点をとれるようになるのか、ということを解説していきます。
解説をするにあたって、毛筆2級に合格できるレベルの方であることを想定して、解説をしていきます。
1.まずはこの第1問三体という問題は、どういったものを書かなければならないのか、最終的なゴールを確認しておきましょう。
書写検定協会の「問題例と解答例」ページにある1級の合格答案例が公開されています。
https://www.nihon-shosha.or.jp/pdf/example/touan/mohitsu1/a_m1.pdf

こんな感じですね。
半紙サイズの紙面に対して、左側に草書、真ん中に行書、右側に楷書を書きます。 字の大きさは中字サイズですね。
子どもの書き初めの名前ぐらいのサイズ感に近いと思います。
実はこれぐらいのサイズの字が一番書きづらいです。
もっと細かいところをひとつひとつ丁寧に観察していきましょう。
①点画の太さ
例えば「清」を見てみると、横画の太さと横画同士の間隔、どっちのほうが太いかというと点画のほうが太くて、間隔・隙間・余白、こっちのほうが狭いといいますか、細いですよね。

点画を書くことによって生まれる余白のことを分間布白といったりしますが、つまりこの「清」は点画>余白になっていますよね。
ペンで書く場合は、点画<余白となることが多いのですが、筆の世界では点画>余白になることが多いです。(そうなっていないことももちろんある)
ペン慣れしている人や、硬筆1級に合格して次は毛筆を始めるぞ〜という方は、筆で書く際も点画<余白で書いてしまいがちです。そうすると、なんか貧弱に見えてしまうんですよね。
ほかには、点画を太く書けたとしてもそのぶん余白をたっぷりとってしまって、字粒が大きくなってしまい結局ただ大きく書いただけ、みたいになってしまう方も結構多いです。
②紙面に対して余白の取り方
次に、紙面に対して15文字をどのように収めて、どのように余白をとっているのかを見てみましょう。



ここからは、よくあるダメなパターンをいくつかご紹介していきます。



第1問三体は、どの文字から書き始めても良いです。
手が汚れないよう、通常は草書から書き始めることが多いのですが、その1文字目が大きくなりすぎてしまう方が多いです。





という感じです。なんとなく最終的なゴールがふわっと見えてきましたでしょうか?
2. 筆のサイズは、子どもの書き初め用の中筆ぐらいが良い。
毛筆1級第1問三体で使用する筆のサイズは、子どもの書き初め用の名前筆(中筆ぐらい)がちょうど良いサイズ感です。
大体穂の直径7mm〜11mm、穂の長さは26mm〜35mmあたりで、イタチの毛を使ったものか、羊毛+イタチの毛の兼毫がオススメです。
最大サイズの直径11mm、穂の長さ35mmの場合は、半分〜7割ほどほぐして使うと良いかなと思います。
本当に一例ですが、例えば
道風中筆(直径9mm 長さ35mm、根元が3mmほど固定されている)

中筆 青龍(直径11mm 長さ35mm)

どの筆が良いかは、本当に人それぞれ感覚が違うので、手当たり次第筆を購入して実際に試してみて、色々と研究をしてみると良いかと思います。
私は西野天祥堂さんの飛鳥3号を愛用しているのですが、2025年10月頃に在庫の確認をしたところ、製造のめどが立っていないとのことで在庫がないとのことでした。
絶対にやめておいた方が良いのは、古筆とか漢字かな交じり文を書くときに使うような小筆で三体を書いてしまうのは避けた方が良いです。
小筆は当たり前ですけど太く書けないのですが、それでも太さの限界を超えて無理矢理書いてしまうと、大体線質が悪くなります。
中筆で書く場合、腕法は懸腕法、枕腕法、提腕法どれでも良いですが、私は提腕法で書いています。
3.出題される語句の傾向を知って、無駄なく効率良く練習を進める
毛筆1級第1問三体で出題される語句は、常用漢字と、その他の主な漢字と決まっています。
常用漢字といえば2,136文字もあります。すごいボリュームです。

しかし実際のところ、墨場必携や過去問からの出題がほとんどです。
ですので、もちろん常用漢字全ての楷書・行書・草書が書けるのは理想ではありますが、
合格だけを目指すということであれば、墨場必携や過去出題された語句を中心に楷行草の練習をするのが最も効率が良いと言えるのではないかなと思います。
墨場必携は、漢字5文字のものを中心に練習をすると良いでしょう。
基本的に6月の試験では春〜夏に関する語句が、11月と2月の試験では秋〜冬に関する語句が出題される傾向がありますが、季節に全く関係ない語句も出題されることがあります。

過去問については2025年12月現在、検定協会からは過去1年分のものしか購入ができないので、それよりも昔のものが欲しい場合、古本屋やメルカリ等で「毛筆書写検定の手びきと問題集」に付属している過去問を集めて練習されると良いかなと思います。
あとは、国立国会図書館で「毛筆書写検定の手びきと問題集」を探して遠隔複写サービスを利用するのも良いかなと思います。
遠隔複写サービスを利用するためには、国立国会図書館サイト上でアカウント登録をする必要があります。
アカウント作成後、国立国会図書館のサイト内の検索ボックスで「毛筆 手びき」と検索するとヒットしますので、問題集の遠隔複写を依頼できます。
(「インターネットで閲覧できるものに絞る」はオフにする)
複写は1冊あたり確か半分のページを超えない範囲までだったと思うので、手びきと問題集は後半部分が問題部分になるので、そこだけ複写を依頼すると良いかなと思います。
頻出語句を集めるのが億劫な人向けに、過去20年分のものは以下で無料公開しています。
第1問漢字5文字と、第5問漢字5文字のデータを集計して、頻出度が高い順に並べたリストです。
【毛筆1級】過去20年分の頻出漢字
令和分(令和元年〜令和5年)も含めたものは私が販売している「毛筆1級 第1問 頻出語句の楷行草お手本集および草書お手本集」に含まれているので、もしよければご活用ください。
4. 実際の練習方法のアドバイス
2級合格レベルの方は、必ずつまずくのが草書だと思います。
お手本なしで活字だけを見て草書を書けないといけません。
ただでさえ中字サイズで難しいのに、更に草書も書かされるとなると、それはそれは難易度MAXです。
長文になってわかりづらいので、三体の練習法をスライドで説明していきます。
スライドの流れは、
(1) 草書の練習法
(2) 行書の練習法
(3) 楷書の練習法
(4) 三体の答案の作り方
(5) 仕上げチェック
となっています。
(1) 草書の練習法



(2) 行書の練習法

(3) 楷書の練習法

(4) 三体の答案の作り方

(5) 仕上げチェック




